裁判例⑦

京都地判平成15年6月27日
(自保ジャーナル第1539号)
年齢: 24歳(事故時)
性別: 男子
職業 :会社員
事故日: 平成11年1月5日
傷害内容: 脳挫傷、肺挫傷、横隔膜損傷、両大腿骨骨折、骨盤骨折等
後遺障害等級: 2級8号(下肢短縮(10級)との併合1級)
後遺症の概要: 両上下肢の筋力低下、歩行障害、記憶力障害等につき
随時介護を要するもの(平成13年2月8日症状固定)

素因(既往症)の内容: 3歳ないし4歳時に受傷したと認められる等級表
12級12号相当の脳萎縮
素因(既往症)の寄与割合: 0%(素因減額否定)

ア 本裁判例の内容
本裁判例は、医師の「事故直後から脳萎縮が画像上確認されることは通常はない」
との意見等から、事故時に既往症として軽度の脳萎縮が存在したことを認定し、
同脳萎縮が3歳ないし4歳時の受傷により発症していたにもかかわらず、
被害者がその後通常人として大学に進学したうえ、就労して本件事故時まで
健康な成人としての生活を送っていたこと、同既往症が事故直後のCT画像に
より初めて判明したものであること、さらに、本件事故によって負った脳挫傷が、
一般的にそれ自体により被害者が負った後遺障害を生じる蓋然性が高いこと
等の事情から被害者の既往症に基づく減額を否定した。

イ 本裁判例の分析
本裁判例は、結果として既往症との因果関係を否定したが、理由として、
被害者が既往症の存在にも関わらず、健康な成人としての生活を送ることが
できていたこと(事故前の生活における既往症による影響)、本件事故による
受傷(頭部外傷)が、一般的に被害者に生じた高次脳機能障害を発症させるに
足りるものであったこと(受傷の程度の十分性)を挙げている。

素因減額の趣旨からは、素因によって症状が悪化していることが認められる
必要があり、その点において受傷の程度が一般的に当該高次脳機能障害を
発症させるに足りるものであることは大きな判断のポイントであろう。

これに補足する形で事故前においても既往症による影響がほとんど
見られなかったことを指摘しているものと考えられる。




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