スピードオーバー

裁判例1      名古屋地裁平成3年8月12日判決

当時の慰謝料の基準    1800万円
増額慰謝料額       2000万円(200万円アップ!)
  
どのような事故だったか?

被害者は、中学1年の女子で、死亡当時13才でした。
勉強熱心で成績優秀、両親は彼女の大学進学を望み、彼女自身も東京大学医学部への
進学を目指していました。

家族は、両親のほか、仲の良い妹がいました。
被害者は、歩道を歩行中、ハンドル操作を誤り歩道に乗り上げた乗用車に後方から
衝突され死亡しました。

この際、加害者は、指定最高速度(時速40Km)を30Kmもオーバーする
時速70Kmで走行していました。

裁判所が慰謝料を増額した理由のポイント

① 指定最高速度を30Kmもオーバーした上、ハンドル操作を誤り歩道に乗り上げる
という加害者の一方的かつ重大な過失

② 被害者の年齢(若さ)や遺族の心情(さぞや無念だったでしょう。)
  
解 説

スピード違反は、平成18年度の道路交通法違反取締件数のうち約23%を占めるなど
比較的よく見られる違反例ですが、超過速度が30km以上の場合には刑事罰の
対象にもなる重大な違反で、罰金だけでなく懲役もあり得ます。

制限速度オーバーで走行している車は多く、みんなやっているから俺も大丈夫だろう
・・というのが実情だと思いますが、事故を起こしたときの結果の重大性を考えると、
とてもそんなことは言っていられません。

スピード違反による死亡事故の場合、スピードをもう少し抑えていれば被害者は
死なずにすんだのではないか、と誰もが思います。

その分、被害者や遺族の無念・後悔も、大きいでしょう。

この点から、スピード違反による事故の場合には、通常よりも慰謝料が増額されて
しかるべき、ということになります。

本件では、被害者が13才と若いことやそれゆえの両親の無念も慰謝料増額に
影響を与えてはいますが、一番の増額ポイントは、スピード違反にあるといえます。

裁判例2         横浜地裁平成元年4月24日判決

当時の慰謝料の基準    2000万円~2200万円
増額慰謝料額       2400万円(200万円~400万円アップ!)
  
どのような事故だったか?

被害者は、36才男性です。勤務歯科医で、事故当時の年収は1500万円ほどでした。
いわゆる一家の大黒柱で、被害者を含む家族4人は、被害者の収入で生活していました。

被害者は、高速道路上路肩部分に自車を停車させ、付近(走行車線部分)に
立っていたところ、大型貨物車に衝突され、全身を轢かれ、死亡しました。

加害者は、指定最高速度(時速80km)を40kmも上回る時速120kmで運転の上、
見通しのよい道路にもかかわらず、直前で被害者に気付くという前方不注視がありました。

裁判所が慰謝料を増額した理由のポイント

①40kmのスピードオーバーかつ前方不注視という一方的な過失
②全身を轢きちぎられたたという悲惨な死亡結果
③見通しのよい道路であるのに、直前まで車が停車していることい気づかない
という常識はずれの走行
 
解説

スピード違反は、一般道であれば超過速度が30km以上、高速道路の場合には
40kmで、刑事罰の対象になります。

本件も40kmオーバーですから、スピード違反のみでも道路交通法違反で、
刑事罰が加えられてもおかしくありません。

それだけ重大な過失ということです。

本件の場合、スピードオーバーの上、前方不注視で被害者に直前まで気付かったと
いうことで加害者の過失は非常に大きいといえます。

判決もこれを重視し、通常よりも200万~400万慰謝料を増額しました。

悲惨な死亡結果や遺族の無念も慰謝料算定に影響を与えていると考えられますが、
判決がもっとも重視したのは、上記の加害者の過失といえます。

なお、本件の被害者は、高速車の行き交う走行車線に立つという危険な行動を
とっており、判決では被害者の過失も小さくないとしていますが、それでも判決は、
加害者の過失が極端に大きいとして、被害者の過失割合を20%にとどめています。

このことからも、判決が、慰謝料算定にあたりスピード違反等の過失を
重視していることが分かります。




  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

ページトップへ

0120-949-753

このページの先頭へ