3 検討

このように、上記裁判例を検討すると介護が要件とはされていない3級以下の
後遺障害等級であっても、被害者が完全には自立できない状態にある場合には
介護(看視)が認められていることがわかる。

具体的には、食事等日常生活動作に支障がある場合(裁判例①④⑦⑩⑪⑬⑰)、
危険回避(裁判例④⑧⑨⑪)、初めての場所に行く際(裁判例⑥⑩⑬)、
他者とのコミュニケーションに支障がある場合(裁判例④⑧⑫⑭⑯⑱)には
介護が認められる傾向にあるといえる。この点については前掲裁判例⑪が参考に
なるといえる。

他方、日常生活動作に支障がない場合には介護は否定される傾向にあると
いえる(裁判例⑲⑳)。

そして、介護の要否の認定においては医師の意見書(裁判例③)や現実に
介護等をしているという実態も重視される傾向にあるといえる(裁判例②④⑦)。

さらに、介護が認められるとしてもその内容としては看視を必要とするものが
多く(裁判例⑨等)、その程度についても「常時」ではなく「随時」と
するものがほとんどであるといえる。

また、火の用心や食事等、日常生活における重要部分について、随時看視が
必要であると認定される傾向にあるものといえる。

この点について、前掲吉本智信『高次脳機能障害と損害賠償』137頁
(㈱自保ジャーナル、第二版、2005)では、看視(著者は監視=看視と
して扱っている)を看視が必要な行為が生存に結びついているかどうかと
いう視点から、「個人生活を営むにも監視が必要な場合を重度の監視、
社会生活を営むのに必要な場合が軽度の監視」というように分けた上で、
重度の監視=介護、軽度の監視≠介護としていることが参考になると思われる。




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