飲酒運転

裁判例1      名古屋地裁平成3年8月12日判決

当時の慰謝料の基準    1800万~2000万
増額慰謝料額       2200万円(200万円~400万円アップ!)
  
どのような事故だったか?

被害者は、64才の男性です。長年教員を勤めて定年退職し、その後はボランティアを
しながら年金生活をしていました。

そして、事故に遭った2ヶ月後には、学習塾を開いて子供達の指導をしようと
夢見ていたところ、交通事故に遭ったという事案です。

家族は、妻と子3名(子のうち1人は、まだ大学生)がいました。
被害者が横断歩道を横断歩行中、普通貨物車に衝突され死亡しましたが、
加害者はこの時飲酒の上で運転していたという事案です。

裁判所が慰謝料を増額した理由のポイント
①事故が加害者の飲酒の上での一方的過失に基づくものであること。
②被害者の年齢、被害者の家族構成

解 説

交通死亡事故のうち、約1割は、加害者が飲酒運転の事案だと言います。

道路交通法第117条の4第3項では呼気アルコール検査で呼気1リットル中
0.15ミリグラム以上のアルコールを保有すると酒気帯び運転で懲役又は
罰金となりますが、飲酒運転による事故は後を絶ちません。

飲酒運転による事故は、加害者側は情状として、何の言い訳もできないでしょうし、
被害者あるいは被害者の遺族としても「お酒さえ飲んでいなければ・・・」
というように、悲しみも大きなものとなります。

その意味で、飲酒運転により交通事故の被害に遭った場合には、通常の場合に比べ、
慰謝料が増額されることが許されると言えるでしょう。

学習塾の開設間際であったことや家族構成なども慰謝料額に影響を与えてはいますが、
一番のポイントは飲酒運転にあると言えるでしょう。

裁判例2           大阪地裁平成16年3月29日判決

当時の慰謝料の基準      2000万円~2200万円
増額慰謝料額         2300万円(100万円~300万円アップ!)

どのような事故だったか?

被害者は19才の女子大生です。アルバイト先から自転車で帰る途中に、飲酒運転の
加害車両にはねられて死亡しました。

加害者は、その日、工務店の同僚と焼肉店での忘年会を計画し、同焼肉店に車で
向かいました。

加害者は、焼肉店でビールや焼酎を飲んだ後、さらに同僚らとスナックで二次会を催し、
同スナックでブランデーを飲むなどしました。

その後加害者は、預けていた子供2人を迎えに行くため、車で妻の実家に向かいました。
その途中に被害者をはねたものです。

事故から1時間後に行われた呼気検査では、呼気1リットルにつき約0.54mg
という高い濃度のアルコールが検出されています。

また、加害者は、飲酒検査の際、「タクシーで帰っていた。車に乗っていない。」
などと警察官に述べていました。
  
裁判所が慰謝料を増額した理由のポイント

①飲酒の上での事故であること
②被害者の年齢や被害者の家族構成
  
解説

本件も飲酒運転の上での事故です。
現在は、呼気1リットルあたり0.15ミリグラム以上のアルコール濃度で
酒気帯び運転として処罰されますが、この数値は、飲酒運転の厳罰化を目指した
平成14年の道路交通法改正により、当時の基準数値0.25ミリグラムから
引き下げられたものです。

本件事故が起きたのが平成13年ですから、まさに世の中が飲酒運転厳罰化に向けて
動いている最中の事故だといえるでしょう。

本件の加害者は、呼気1リットルあたり0.45グラムと、引下げ前の酒酔い運転の
基準値をもはるかに超える高いアルコールを保有していました。

しかも、事故から1時間後の検査でこの結果ですから、事故直後に検査していれば
かなりの数値が出たものと考えられます。

また飲酒検査の際の加害者の発言からすると、事故を起こした自覚もないほどに
酩酊していたと考えられます。

判決も、事故の発生には飲酒の影響が相当大きかったと指摘し、慰謝料算定にあたっても
この点を重視し、他の事情も考慮しつつ、基準よりも100万円~300万円慰謝料を
増額させています。




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