はじめに

自動車事故においては、胸腹部臓器が損傷を受けることも稀ではない。

胸腹部臓器の障害は、大きく、呼吸器、循環器、腹部臓器(食道、胃、小腸、大腸、肝臓、
胆のう、膵臓、脾臓、腹壁瘢痕ヘルニア等)、泌尿器、生殖器の障害に分類される。
これらの後遺障害の等級の分類は、下記表(平成18年4月1日以降の事故に適用されるもの)
のとおりである。平成18年の改定以前には、脾臓と腎臓について、「脾臓又は一側の腎臓を
失ったもの」(8級11号)という区分が設けられていたが、同改定により撤廃されている。

障害等級表
等級 生殖器以外の臓器 生殖器
1級2号
(別表第1) 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常に介護を要するもの

2級2号
(別表第1) 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、随時介護を要するもの

3級4号
(以下別表第2) 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、終身労務に服することが
できないもの

5級3号 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の
労務に服することができないもの

7級 胸腹部臓器の機能に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することが
できないもの(5号) 両側の睾丸を失ったもの(13号)

9級 胸腹部臓器の機能に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に
制限されるもの(11号) 生殖器に著しい障害を残すもの(17号)

11級10号 胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの

13級 胸腹部臓器の機能に障害を残すもの

胸腹部臓器や生殖器の障害については、上下肢、脊髄等の他の後遺障害に比べれば
裁判例の数は少ないが、部位ごとに分類して、比較的近時の裁判例を紹介し、特に、
労働能力喪失率の認定上の問題点について考察を加えたい。

この点、裁判例の分類においては、各臓器が体内に隣接して配置されている以上、
当該事故により一部位のみならず他の部位も同時に損傷を受けていることも多い。
したがって、以下では、当該分類内で、当該一部位以外の部位の障害も
複合していることがあり、また当該分類に入れることが必ずしも適切ではないと
考えられるものも存在するが、その点は御承知頂きたい。




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