裁判例⑤

裁判例⑤大阪地判平成20年4月28日
(自保ジャーナル第1750号)
年齢: 25歳(事故時)
性別: 男子
傷害内容: 右側頭部脳挫傷、びまん性軸索損傷等
自賠責等級: 高次脳機能障害等で併合1級
被害者側の状況
社会生活のあらゆる場面で常識的な対応ができないばかりか、感情の抑制が
できず、突然怒り出し、興奮しては暴言を吐いたり、身近な人に暴行を
加えたりすることがある。
ADL(日常生活動作)については一応確立しており、食事等の日常生活動作や、
一定範囲での外出は独りですることができる。
現況では、介護はすべて被害者の両親が行っている。

介護内容: 随時看視や見守り
認定された介護費用
介護人母67歳まで:近親者介護日額3500円(一部職業介護人)
介護人母67歳以降:職業介護人日額1万5000円
原告の請求
全生涯にわたって常に介護が必要であり、
①職業介護人の介護費用は、9時間半の場合は2万1266円、
17時間の場合は3万5110円、

②近親者の介護費用は少なくとも、7時間半で1万円、17時間で
1万7000円を相当とすべきである。

【上記介護費用の認定に至った理由】
裁判所は、被害者(原告太郎)の高次脳機能障害の症状の程度について、
①単純作業であれ、原告太郎が就労することは困難であるとしつつ、

②生活範囲が住居内に限定される程度にまでは至っていないとし、
自賠責後遺障害等級2級に該当する程度に至っているとはいまだ認めることが
できず、別表第2の3級3号に該当する認定した。

そして、原告太郎の後遺障害の内容に照らせば、原告太郎は症状固定後も
就労は不可能であり、社会的適応力に欠けるものの、日常生活はおおむね
独りでこなせること、親しい者以外に対して暴力を振るう具体的危険性までは
認められないことから、常時の介助はもとより、常時の看視、声かけを
するまでの必要性はなく、随時看視や見守りが必要な状況にあると判断した。

また、被害者の状況からすると、被害者の両親にとって介護の負担が加重に
なりつつあり、相当な精神的負担もあるものと考えられるとした。

以上から、
①原告太郎の症状固定後原告春子(母)が67歳に達するまでの9年間は、
近親者による介護が実施されることを原則とし、一部職業介護人による
介護が併用されることを想定し、

②原告春子が67歳に達した後原告太郎の平均余命に相当する期間までは、
もっぱら職業介護人による介護が実施されるものとそれぞれ想定することが
相当であるとした。

このことに、原告太郎に対して必要な介護の内容を勘案して、上記介護費用を
認定した。

【本裁判例の特徴】
本記裁判例は、被害者の具体的な症状から、自賠責で認定された等級とは
異なる3級3号の高次脳機能障害を認定しつつも、随時看視や見守りが
必要な状況であるとして、母親が67歳に達した以降は日額1万5000円と
いう高次脳機能障害3級の事案としては比較的高額な職業介護人費用を
認めている点に特徴がある。




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