脊柱の構造・機能

交通事故によって、脊椎に外力が加わり、脊髄が損傷した場合、四肢麻痺をはじめとする
重篤な麻痺が発生することが多い。

なお,脊椎の脱臼及び脱臼骨折例では脊髄損傷は必発となる
(「脊椎損傷ハンドブック」改訂第2版185頁)。

脊髄は、髄膜に包まれることにより保護され、さらに、髄膜の外をしっかりガードする
26個の脊椎骨により保護されている。

脊椎骨の数が脊髄神経(31対)と同数でないのは、小児期には5個あった仙椎が
成人になると癒合して1個となり、4~6個の尾椎も癒合して1個となり、また、
頸髄神経が8対であるのに対し頚椎が7個しかないためである。
したがって、脊椎骨の数は、頚椎7、胸椎12、腰椎5、仙椎1、尾椎1で合計26個となる。

脊柱は,椎骨とその間に介在して椎骨相互の連結を保ち,かつ可動部分の大部分を
構成する椎間板をはじめとして,前後縦靱帯,椎間関節包,棘上・棘間靱帯,黄色靱帯,
横突起間靱帯,腸腰靱帯などからなる。

椎骨はそれ自体,物性学的には弾性がきわめて小さいのに反し,その他の構成要素は
visco-elastic(粘り強い弾力性)な性質をもっている。

このような脊柱の工学的な機能は,①支持機能と,②運動機能に大別される。
支持機能は椎骨とともに椎間板や傍脊柱靱帯群などの総合的な作用によって,
いわば内在支持機構をもつほか,傍脊柱筋群,腹筋群あるいは胸部の筋,肩甲帯頚部筋群
などによる外来支持機構とによって補強されている。

また,一定範囲内での運動が許容される運動分節は後頭骨から第1仙椎間に25個存在して,
互いに椎骨をへだてて連結されているため,通常の脊柱運動はいかなる方向の運動であっても
単一分節のみで起こることはほとんどなく,各分節の共同運動によって脊柱全体として
無理なく行われている。このことは,脊柱機能のもう一つの重要な機能としての,
③脊髄保護作用に有利な条件を備えている。

このような脊柱全体としての機能を果たすうえでさらに重要なことは,立位姿勢において
脊椎は頚,胸,腰の各部に矢状面内での生理的湾曲をもっていることである。
これによって脊柱は過激な体幹運動,とくに飛び降り,ジャンプなどの強い
ショックに対しても,容易にエネルギーを吸収するdamping capacity(ショック吸収力)
を強化している(「脊椎損傷ハンドブック」改訂第2版23頁)。

後述する後遺障害等級表上の脊柱の障害は,上記のうち①頸部及び体幹の支持機能ないし
保持機能と,その②運動機能に着目したものである。  

脊柱を損傷すると,上記機能が損なわれることから,後述する逸失利益の判断においても,
脊柱の損傷により,どのような支障が生じているかを具体的に判断する必要がある。

なお,前述のように仙骨及び尾骨は脊柱の一部であるとともに、骨盤骨の一部をなしている。
ただし、障害等級表上の脊柱の障害とは、前述のように頸部及び体幹の支持機能ないし
保持機能及びその運動機能に着目したものであることから、これらの機能を有していない
仙骨及び尾骨については、せき柱には含まないものとして扱われている。




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