男性

裁判例⑰
東京地裁平成21年2月24日判決(判例秘書)
症状固定時の年齢 40歳
事故当時の職業 会社員(通販事業部における商品開発担当、営業や顧客に関する業務に従事)
醜状の内容(醜状部分の後遺障害等級)
右前頭部ないし前額部19cm×0.5cmの線状の外傷痕、右こめかみ部付近等
8cm×1cmの段差、右頭部28cm×0.7cmの手術痕等(12級)
他の後遺症・これを含めた後遺障障害等級 複視(12級)、下肢短縮(13級)との併合11級
比較基準喪失率 20%
喪失率・期間 67歳までの27年間20%
同等級の一般的な後遺障害慰謝料 420万円
後遺障害慰謝料 420万円
特徴 下肢や視力障害の実際上の支障のほか、原告勤務先会社が近い将来
組織変更することで配置転換されることに関して、この2部位のほか外貌醜状についても
「勤務先の職種に照らし、原告の年齢を考慮しても、なお、その配置の決定等に当たって
考慮されることがあり得、これらの後遺障害が将来の昇進や転職等に影響を及ぼすことも
あり得る」として、逸失利益の発生を肯定している。

裁判例⑱
東京地裁平成20年11月26日判決(自保ジャーナル1781号)
症状固定時の年齢 28歳
事故当時の職業 フィットネスクラブインストラクター
醜状の内容(醜状部分の後遺障害等級)
顔面部に人目につく程度の4か所の瘢痕(左眉部、左眼、左の目尻から左頬、唇。
左の唇の上、唇の下から左右に分かれ顎にかけて、連続、又は不連続の瘢痕。
計31.5cm)、頸部に1か所の瘢痕(頸前面から胸上部に掛けて、
計19.2cm)で12級14号

他の後遺症・これを含めた後遺障障害等級 前腕部知覚鈍麻(14級)と全体で12級
比較基準喪失率 14%
喪失率・期間 当初10年間10%、その後7年間5%
同等級の一般的な後遺障害慰謝料 290万円
後遺障害慰謝料 290万円
特徴
フィットネスインストラクターの、顧客との1対1の関係が要求される接客的側面
(器具の使用方法のアドバイス、フィットネスの介助、プラン提案、世間話をしながら
顧客に楽しい時間をすごさせる)を丁寧に検討したうえ、上記後遺症が重篤で人目を
引くものであることの影響を踏まえ、外貌醜状が労働に与える影響は直接的なものと
認定している。

なお、本件事案の逸失利益を検討する前提として、男性の外貌醜状による労働能力喪失率の
認定に関する以下の一般論を展開している。

「そもそも、頭部、顔面部、頸部のごとく、上肢及び下肢以外の日常露出する部位に醜状痕が
残った外貌醜状は、デスクワークや荷物の搬送等の通常の労働にとって特段の影響を
及ぼさないことから労働能力を低下させず、逸失利益を発生させないと解することができるが、
被害者が女性で芸能人、モデル、ホステス等の容姿が重視される職業に就いている
場合はもちろん、男性でもアナウンサー、営業マン、ウエイター等それなりの容姿が
必要とされる職業に就いている場合には、特に顔面に醜状痕が残ったことによりファンや
店の客足が減る、勤務先の会社で営業職から内勤に配置転換となり昇進が遅れる、
転職に支障を生じ職業選択が狭められるなどの影響を及ぼすことが生じ得、
そのような場合には労働に直接の影響を及ぼすおそれがあると認められ、労働能力を
低下させるものとして、被害者の職業、年齢、性別等を考慮し、労働能力喪失率を
認めることが相当である。」(判決理由より抜粋)

裁判例⑲
京都地裁平成18年8月18日判決(自保ジャーナル1699号)
症状固定時の年齢 21歳
事故当時の職業 大学生
醜状の内容(醜状部分の後遺障害等級) 前額部(12級13号)
比較基準喪失率 14%
喪失率・期間 5年間7%
同等級の一般的な後遺障害慰謝料 290万円
後遺障害慰謝料 280万円
特徴
大学院生(口頭弁論終結時)が就職先を検討するうえで外貌が就職活動に全く影響しない
とは言い切れず、今後就職活動を現実的に行わなければならない大学院生として相当の
心理的ストレスにさらされることが相当な就労の精神的支障となり得る蓋然性が高いとして、
醜状痕の部位・程度も斟酌して上記のとおり認定している。

裁判例⑳
京都地裁平成22年3月11日判決(自保ジャーナル1827号)
症状固定時の年齢 46歳
事故当時の職業 100円ショップ会社代表
醜状の内容(醜状部分の後遺障害等級)
①全身広範囲擦過創による右上肢の瘢痕(12級相当)、②左上肢の瘢痕(12級相当)、
③右下肢の瘢痕(12級相当)、④左下肢の瘢痕(12級相当)、⑤全身広範囲擦過創による
背部及び唇部の瘢痕(14級相当)、⑥顔面部の醜状障害(12級)
他の後遺症・これを含めた後遺障障害等級 左肩関節機能障害(12級)等との併合11級
比較基準喪失率 20%
喪失率・期間 67歳までの21年間14%(醜状部分は否定)
同等級の一般的な後遺障害慰謝料 420万円
後遺障害慰謝料 400万円
特徴
12級の左肩関節機能障害等については14%の労働能力を喪失したと認定したのに対し、
各醜状の後遺障害については、具体的な理由は示さず「それが労働能力喪失をもたらすことを
認めるに足りる証拠がない」として、逸失利益を否定している。

裁判例○21
東京地裁平成17年12月21日(自保ジャーナル1637号)
症状固定時の年齢 24歳
事故当時の職業 会社員(オペレータとして、顧客企業のコンピュータシステムを
24時間体制で監視する保守点検業務)
醜状の内容(醜状部分の後遺障害等級) 下顎部の2か所にわたる
脱色線状痕(12級13号)
他の後遺症・これを含めた後遺障障害等級 歯牙補綴(12級3号)との併合11級
比較基準喪失率 20%
喪失率・期間 否定
同等級の一般的な後遺障害慰謝料 420万円
後遺障害慰謝料 630万円
特徴
外貌醜状に関して顔面の傷が大きなコンプレックスとなっており対人関係で消極的となる
原因であることは認めつつも、労働能力への直接的な影響を受けているとまでは
言い難いとして逸失利益を否定している。
もっとも、対人関係に消極的となり労働意欲その他労働能力に間接的に影響を及ぼしている
事情については慰謝料で斟酌し、11級(一般的な基準は420万円)ながら630万円の
慰謝料を相当としている。

裁判例○22
岡山地裁平成21年7月16日判決(交民集42巻4号898頁)
症状固定時の年齢 12歳
事故当時の職業 中学1年生
醜状の内容(醜状部分の後遺障害等級)
右下肢に合計面積がてのひらの大きさの3倍程度以上の瘢痕(12級相当)、
左下肢に左膝部及び左大腿部に採皮痕(14級5号)
他の後遺症・これを含めた後遺障障害等級 右足指の機能障害(11級9号)との併合10級
比較基準喪失率 27%
喪失率・期間 5年間7%(醜状部分は否定)
同等級の一般的な後遺障害慰謝料 550万円
後遺障害慰謝料 550万円
特徴
逸失利益について、具体的な理由を示さず、労働能力に影響するのは右足指の
機能障害部分のみであるとして、醜状部分の逸失利益を否定している。

また、後遺障害慰謝料についても、醜状部分の逸失利益を否定していることを
慰謝料増額事由として斟酌していない。

裁判例○23
さいたま地裁平成22年6月25日判決(自保ジャーナル1836号)
症状固定時の年齢 事故時5歳男児
醜状の内容(醜状部分の後遺障害等級) 顔面に3か所にわたり人目につく程度の
線状痕(12級14号)
比較基準喪失率 14%
喪失率・期間 否定
同等級の一般的な後遺障害慰謝料 290万円
後遺障害慰謝料 440万円
特徴
具体的な線状痕については明らかではなく、これが改善されることも予想されること
等の事情から、将来の労働能力に影響を与えるものと認めることはできないとしている。
もっとも、外貌醜状に関しては慰謝料算定にあたって斟酌し、12級の
一般的基準よりも150万円高額の440万円を認定している。




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