はじめに

上記のとおり、外貌醜状に関しては、後遺障害等級認定において、男女差という大きな問題
が存在していたところ、上記の改正をもって、等級認定の男女差の問題に関しては一応の
解決をみたと考えられる。

もっとも、交通事故の損害賠償訴訟の逸失利益の判断において重要なのは、いうまでもなく、
当該認定等級そのものではなく、具体的、現実的な労働能力の喪失である。外貌醜状に関する
後遺障害については、例えば麻痺や可動域制限等の様にそれ自体が身体機能を左右するものでは
ないという特質を有することから、これまでの裁判上でも、労働能力喪失率の有無及び
その程度が大きく争われてきたところである。

この点、外貌の醜状障害に関する裁判実務上の取扱いについて、平成14年の
東京三弁護士会交通事故処理委員会創立40周年記念公演において、
当時の東京地裁民事第27部(交通事故専門部)の河邉義典部総括判事が、大要、

①被害者の性別、年齢、職業等を考慮した上で、醜状痕の存在のために配置転換させられたり、
職業選択の幅が狭められるなどの形で労働能力に直接的な影響を及ぼすおそれのある場合には、
一定割合の労働能力の喪失を肯定し逸失利益を認める、

②労働能力への直接的な影響は認められなくても、対人関係や対外的な活動に消極的に
なるなどの形で間接的に労働能力に影響を及ぼすおそれが認められる場合には、
後遺障害慰謝料の加算事由として考慮し、原則として100万~200万円の幅でこれを増額する、

③この①②以外の場合には慰謝料も増額しないと述べられている。

そこで、以下では、比較的近時(平成17年以降)の裁判例を、性別や年齢、職業等を考慮し、
「労働能力への影響がどのように認定されているか」という観点から紹介するとともに、
考察を加えたい。




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