機能障害

a 後遺障害等級認定基準
(a)機能障害の意義
足指の機能障害とは、「用を廃したもの」とされており、「用を廃したもの」とは、
第1の足指は遠位指節間関節以上を失ったもの又は中足指節関節若しくは近位指節間関節
(第1の足指にあっては指節間関節)に著しい運動障害を残すものとされている。
具体的には、以下のものをいう。

(イ)第1の足指の末節骨の長さの1/2以上を失ったもの

(ロ) 第1の足指以外の足指を中節骨若しくは基節骨を切断したもの又は
遠位指節間関節において離断したもの

(ハ)中指指節関節又は近位指節間関節(第1の足指にあっては指節間関節)の
可動域が健側の可動域の1/2以下に制限されるもの

(b)認定基準
    
7級11号 両足の足指の全部の用を廃したもの

9級15号 1足の足指の全部の用を廃したもの

11級9号 1足の第1の足指を含み2以上の足指の用を廃したもの

12級12号 1足の第1の足指又は他の4の足指の用を廃したもの

13級10号 1足の第2の足指の用を廃したもの、第2の足指を含み2の足指の用を
廃したもの又は第3の足指以下の3の足指の用を廃したもの

14級8号 1足の第3の足指以下の1又は2の足指の用を廃したもの
    
    
(c)認定のポイント
参考可動域角度
部位名 運動方向 参考可動域角度 基本軸
母趾 屈曲 35° 第1中足骨
母趾 伸展 60° 第1中足骨
母趾 屈曲 60° 第1基節骨
母趾 伸展 0° 第1基節骨
足趾 屈曲 35° 第2~5中手骨
足趾 伸展 40° 第2~5中手骨
足趾 屈曲 35° 第2~5基節骨
足趾 伸展 0° 第2~5基節骨
足趾 屈曲 50° 第2~5中節骨
足趾 伸展 0° 第2~5中節骨
   
可動域については巻末図参照

b 裁判例

(a)概観
労働能力喪失率のみならず、可動域についても、下肢の機能障害と同様、争われることが多い。

(b)具体的裁判例
※労働能力喪失期間は明記無き限り就労可能年数(症状固定時の年齢から67歳までの
期間と平均余命の半分のどちらか長い期間)
※「[〇%]」は当該等級の自賠責における基準となる喪失率
     
① 大阪地判昭和63年10月11日
年齢 52歳
性別 男子
職業 会社員
傷病名 右足第2中足骨骨折など
自賠責認定等級 不明
本判決認定喪失率 27%

概要
原告は、右足指全部の用廃として9級15号を主張したが、裁判所は、第3ないし5趾は
完全硬直したわけではなく、用廃とは評価できないから、11級10号と認定した。
そして、他に12級7号も右足関節について認定し、併合10級とした。

②  東京地裁八王子支部判平成1年3月24日
    
年齢 19歳(症状固定時)
性別 男子
職業 美容師
傷病名 右下腿開放骨折、右下肢神経損傷等
自賠責認定等級 併合8級(9級足指全廃、10級足関節機能障害)[45%]

本判決認定喪失率 30%
概要
原告が美容師で立仕事であることを重視はするが、原告が最も不自由を感じるのは足首
であるとし、立つことの苦痛以外には後遺障害のために収入が減ることはないとして、
上記喪失率を認定した。

③ 東京地判平成11年5月24日 自保1303号
     
年齢 47歳(事故時)
性別 女子
職業 パチンコ店カウンター係兼家事従事者
傷病名 右第3、第4趾切断等
自賠責認定等級 併合12級(足指に関し12級神経症状、14級用廃)[14%]
本判決認定喪失率 遁減法(7年14%、13年10%)

概要
①5年から7年程度で神経症状の影響が緩和されるとの医師の意見、

②自賠法施行令別表の後遺障害等級表程度に達していると認めるには足りないものの、
右足第2指に可動域制限が残存していること、

③同表の後遺障害等級表の差異からすると、第2指は、歩行や起立の際に影響を与える
程度が比較的大きいと推測できるとし、上記喪失率を認定した。

④ 大阪地判平成20年12月16日 自保1797号
     
年齢 15歳(事故時)
性別 女子
職業 高校生(事故後、工場従業員)
傷病名 右第1ないし第4中足骨折、顔面挫創等
自賠責認定等級 併合10級(11級9号足指用廃、12級15号外貌醜状)[27%]
本判決認定喪失率 20%

概要
本件事故後、原告が、定時制高校に進学するとともに、一時飲食店で稼働した後、
派遣会社社員として、工場で工員として稼働したのち、現在に至るまでの間、
老人介護施設において介護補助として稼働しており、現在、定時制高校の3年生に
在学しているという事実を前提に、

①前額部及び右足部の醜状痕については、その部位及び程度からみて、
原告の労働能力そのものに影響するものではないとし、

②原告の就労状況及び原告の右足趾の関節機能障害の程度から上記喪失率を認定した。

⑤ 東京高判平成14年7月30日 自保1455号
(1審 東京地判平成14年2月22日)
    
年齢 20歳(事故時)
性別 男子
職業 大学生
傷病名 左大腿・下腿開放骨折等
自賠責認定等級 併合10級(12級右母趾可動域用廃、12級骨盤変形、
12級左足関節可動域制限)[27%]
本判決認定喪失率 20%

概要
①原告の後遺障害のうち、労働能力に直接影響があると考えられるのは、
左足関節運動機能障害と左母趾関節可動域制限であるとして、

②可動域制限につき改善可能性等を詳細に認定した上、

③原告は法務課において建築申請係を担当しているため、デスクワークの他に、
都庁等に書類を提出するなどの外回りの仕事も多く、外回りをした場合、出先などにおいて
足にしびれや痛みを感じることがあり、このような場合には我慢するしかないこと、
天気の変わり目には足が痛むこと、正座ができないことは仕事には関係しないが、
腓骨神経麻痺により膝の裏側が圧追されるため、足の親指が動かないこと、
普通の靴であっても足首に力が入らないため、足をひっかけるといった事実を認定し、

④左足関節運動機能障害と左母趾関節可動域用廃による障害は、原告の外回り等の
職務内容に困難が伴い、痛みが生じた場合には仕事に集中できなくなることなど
他の職員に比べて能率が低くならざるを得ないものと認められるとしたうえで、

⑤原告は入社して1年目のため、障害が原告の待遇や給与に及ぼす程度は明らかには
なっていないが、障害及び痛みが認められる以上、今後、相当程度本人の努力によって
カバーせざるを得ない面も否定できず、その努力にも自ずと限界があるから、
原告が障害により将来の昇給等に不利益な取扱いを受けることは十分予想されるところである。

上記原告の仕事の状況、内容からすれば、左足の障害は大きなハンデとなっているものと
認められとして、上記喪失率を認定した。




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