裁判例

a 概観
前述のように、欠損障害、短縮障害においては、画像所見により、その後遺障害の存在は
明らかであることが多く、等級自体を争われることは少ないと思われる。
また、事故によって下肢に明確な傷害を負っていることがほとんどなので、
事故と後遺障害の因果関係が争われることも少ない。主に問題となるのは、
労働能力喪失率であるといえる。

下肢欠損障害の中で、1級又は2級と認定された場合は、おおむねその労働能力喪失率は
100%ないし92%とされている。
自賠責基準では1級から3級までは100%の喪失率が定められているが、裁判によった場合、
被害者の年齢、職業、現実の収入への影響等により、個別具体的に判断される。この点は、
他の後遺障害と同じである。

1級から3級までの裁判例で、100%に満たない喪失率を認定するものの多くは、
被害者が事故後も何らかの収入を得ていることから、本人の努力等はあるにしても、
100%の喪失とまでは認定されていないケースである。

4級以下の場合に、下肢欠損等を含めて、併合された上で、1級ないし3級と
認定された場合には、実際に労働能力に影響を与えている後遺障害のみ考慮され、
喪失率が判断されているケースも多く存在する。

下肢の欠損の場合、いかなる職業であっても、大きな影響があり、それをカバーする
被害者本人の努力があって初めて就労継続が可能であることから、等級いかんにかかわらず
労働能力の喪失は認められると考えて良いであろう。

しかし、喪失率の大きさは、やはり、個別具体的に判断されており、肉体労働者であれば、
労働能力の喪失が大きいと判断されることは当然であろう。

また、実際に減収がない場合に問題となりやすいが、減収がなくとも労働能力喪失が
認められている例は多く存在する。

下肢短縮障害に関して、1センチメートルの短縮障害単独で、労働能力の喪失は認められにくい。
もっとも、減収がなくとも将来の減収の可能性があれば、労働能力の喪失が認められている
裁判例も存在する。

3センチメートル以上の短縮が生じている場合は、歩行障害なども生じ、労働能力の喪失は
明らかであると言えるが、このように短縮が大きい場合は、被害者は下肢に重篤な傷害を
負ったケースで、短縮障害以外の後遺障害も存在し、短縮障害単独の労働能力の喪失が
判断された裁判例は見当たらなかった。




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