明確な器質的損傷がない事案

裁判例⑧ 大阪地判平成14年1月16日 交民35巻1号27頁
年齢 35歳(事故時)
性別 男子
職業 塗装業(開業準備中)
傷病名 左肩関節挫傷
自賠責認定等級(喪失率) 非該当
本判決認定喪失率 5%
喪失期間 3年間

事案の概要  
本裁判例は、自賠責保険において、左肩関節に運動制限を来す骨折等の器質的損傷は
認められないなどとして後遺障害等級非該当とされた原告が、左肩関節の運動可能領域は
右側の4分の3に制限されており、機能障害として自賠責保険の後遺障害等級の12級6号に
該当するとして、労働能力喪失率を12級相当の14%、喪失期間は67歳まで認められる
べきであると主張した事案である。

裁判所の判断
裁判所は、左肩関節への外傷が誘因となり、左肩関節の疼痛及び可動域制限が発生
したことは認めつつ、左肩関節に骨折、腱板断裂、関節唇損傷等の異常所見は
認められていないことを指摘し、原告はその労働能力を14級相当の5%の割合で
3年間喪失したものと認めるのが相当であるとした。

裁判例⑨ 神戸地判平成11年2月3日 交民32巻1号268頁
年齢 59歳(症状固定時)
性別 男子
職業 運転手
傷病名 右第10肋骨骨折等
自賠責認定等級(喪失率) 非該当
本判決認定喪失率 14%
喪失期間 59歳から67歳まで8年間

事案の概要  
本裁判例は、右肩関節に運動制限があるとする診断書を自賠責に提出したものの
非該当となった原告が、裁判上、後遺障害があるとして逸失利益を含む損害賠償を
請求したのに対し、被告は、原告の右肩関節に、骨折、脱臼、筋断裂等の
所見がないから、原告主張のような後遺障害は発生するはずがないと主張した事案である。

裁判所の判断  
裁判所は、後遺障害診断書によると、原告には、右肩関節の機能障害及び右肩関節部の
神経症状が残存しているとされ、病院のカルテによれば、原告は本件事故当初より
後遺障害診断を受けた日まで、一貫して繰り返し右肩痛や右手のしびれを訴えていたこと、
各診断における関節機能障害検査では、いずれも屈曲、伸展及び外展につき右肩の
可動領域が左肩と比べかなり狭くなっているが、こうした関節部の運動障害は疼痛等の
神経症状に比べれば、客観性のある症状であること(証拠略)からすると、
右肩の関節機能障害や疼痛は、原告に見られる症状であり、本件事故により生じた
後遺障害と言うことができるとし、原告の後遺症は自賠責後遺障害等級12級に該当し、
これによる労働能力喪失率は14%と認めるのが相当であるとした。




  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

ページトップへ

0120-949-753

このページの先頭へ