【裁判例28-30】

【裁判例28】大阪地裁平成13年8月28日(交民34・4・1100)
結論 減額しない。
年齢 不明
性別 不明
職業 タクシー運転手
自賠責等級 14級10号
裁判所認定等級等
14級10号
喪失期間5年間
喪失率5%

【理由】
本件事故と原告の椎間板ヘルニア(椎間板の後方膨隆)との間の因果関係はにわかに
認めがたいが、本件事故前には腰部症状はなく本件事故を契機として腰部の疼痛などの
症状が発現しているのであり、本件事故により原告が受けた衝撃も必ずしも軽微な
ものではないことなどを考慮すると、本件事故により椎間板ヘルニア等の症状が
増悪して腰部の疼痛などの症状が発現したもので、増悪した部分に該当する腰部の
疼痛など腰部由来の神経症状が残存し、これが固定しているものといわなければならない。

したがって、原告の経年性と思われる症状を増悪させた部分を後遺障害ととらえて、
同後遺障害は14級10号に該当すると考える。

素因減額については、不法行為により傷害を被った被害者が平均的な体格ないし
通常の体質と異なる身体的特徴を有していたとしても、それが疾患に当たらない場合には、
特段の事情の存しない限り、被害者のこの身体的特徴を損害賠償の額を定めるに当たり
斟酌することはできないと解すべきである(最3小判平成8年10月29日・民集50巻9号
2474頁参照)から、少なくとも通常の加齢による骨の変成など、疾患に当たらない
体質的素因については、これを理由として素因減額をすると公平を失するものと
いわなければならない。本件においては、原告の椎間板ヘルニア(椎間板の後方膨隆)などの
加齢性変成の程度が原告の当該年齢の平均の範囲を超える疾患に該当することを認めるに
足りる客観的な証拠はないので、素因減額することはできない。

また、特に本件においては、本件事故と相当因果関係の認められない椎間板ヘルニア等の
経年性変化が増悪した部分の症状に限って、その症状部分を後遺障害ととらえているので
あるから、更に椎間板ヘルニア等の素因を理由に減額をする余地はない。

【裁判例29】京都地裁平成14年4月4日(自保1458・11)
結論 減額しない。
年齢 不明
性別 不明
職業 タクシー運転手
自賠責等級 14級10号
裁判所認定等級等
14級10号
喪失期間5年間
喪失率5%

【理由】
ア 証拠(略)によると、同原告には、腰椎レントゲン検査及びMRI検査
により、腰椎椎間板ヘルニアの所見が得られたことが認められるところ、被告は、これは
本件事故によって生じたものではなく、本件事故前からの私病とみるべきである旨主張するので、
まず、この点を検討する。

(ア) 証拠(略)によると、同原告は、本件事故発生当日の平成12年2月9日、
神部整形外科を受診し、腰痛や左下肢の放散痛等を訴えたが、診察の結果、神経学的障害は
認められず、また、レントゲン検査においても異常所見が認められなかったため、神部医師は、
同原告に対し、2週間の安静を指示し、同月25日からリハビリテーションが開始されたが、
その後、はかばかしい改善が得られなかったことから、同年6月26日に新河端病院で腰部の
MRI検査が施行された結果、第5腰椎の後方への軽度のすべり及び第5腰椎/仙椎間の
椎間板変性の所見(ただし、明らかな脊柱管や神経孔の狭小は認められなかった。)が
得られたことが認められる。

(イ) 上記認定によると、同原告については、本件事故当日の診察において、
神経学的障害やレントゲン検査上の異常所見が認められなかったというのであり、加えて、
本件事故による原告車両及び被告車両の損傷状況(証拠略)によると、本件事故により
原告車両へ加えられた衝撃は比較的軽微なものであったと推認されることを考え併せると、
本件事故による同原告の受傷は比較的軽微なものであったというべきであるから、原告の
腰椎椎間板ヘルニアが本件事故による衝撃によって生じたものとみることは困難であって、
上記傷病については、本件事故前からの原告の私病であったと認めるのが相当である。

イ しかしながら、証拠(略)によると、同原告は、本件事故前には腰痛を感じていなかったが、
本件事故後は、現在に至るまで、腰痛や左下肢の放散痛等の自覚症状を訴えていることが
認められるところ、同原告が本件事故当日の診察においても上記の自覚症状を訴えていたことを
考慮すると、原告の腰椎椎間板ヘルニアそれ自体が原告の私病であるとしても、
それに本件事故による衝撃が加わった結果、それまで生じていなかった腰痛や左下肢の
放散痛が顕在化し、それが現在に至るまで残存しているものと医学的に了解することが
可能であるから、同原告の腰痛及び左下肢の放散痛については、後遺障害等級14級10号に
該当するものと認めるのが相当である。

【裁判例30】東京地裁平成12年6月14日(交民33・3・966)
結論 減額しない。
年齢 事故時32歳
性別 男性
職業 会社員
自賠責等級 14級10号
裁判所認定等級等
14級10号
喪失期間5年間
喪失率5%

【理由】
1 因果関係
原告の頸部から上肢及び手指に関する症状は、第五、第六頸椎の椎間板ヘルニアに
基づくものであり、頸椎椎間板へルニアは、経年性の変異によるもので、その意味では
本件事故以前から存在したといえるが、本件事故に遭うまでその症状が発現していたことを
窺わせる証拠はないから、上記症状は、経年性の変異による椎間板ヘルニアが存在するところへ、
本件事故による外力が加わり、症状が発現したといえる。したがって、本件事故と
椎間板へルニアによる症状の発現には相当因果関係がある

2 後遺障害の有無 
第五、第六頸椎の椎間板ヘルニアは本件事故の外力により生じたものではないとしても、
その症状の発現は本件事故によって生じたものであるから、原告に残存した症状(後頭部、
後頸部の痛み、左肩から上肢、手指の痛み、しびれがあり、力が入りにくいなど)は、
後遺障害として本件事故と相当因果関係がある。そして、その程度は14級10号である。

3 素因減額
 原告の頸椎椎間板ヘルニアに基づく症状には経年性の変異が影響しているが、
その経年性の変異は、年齢相応のもので、ヘルニアも小さいものであったから、本件事故の
衝撃の大きさをも併せて考えると、素因として減額考慮するほどのものとはいえない。




  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

ページトップへ

0120-949-753

このページの先頭へ