後遺障害等級

末梢神経障害の等級は12級13号「局部に頑固な神経症状を残すもの」と14級9号
「局部に神経症状を残すもの」とに区別される。なお、カウザルギー、RSD、CRPS、
繊維筋痛症については特殊な性状の神経症状として別の基準によって認定される。

従来、労災の等級認定の基準となる「必携」では、12級につき「労働には通常差し支え
ないが、医学的に証明しうる神経系統の機能又は精神の障害を残すもの」と説明されていた。
他方、14級については「労働には通常差し支えないが、医学的に説明可能な神経系統又は
精神の障害に係る所見があると認められるもの」とされ、「医学的に証明しうる精神神経学的な
症状は明らかでないが、頭痛、めまい、疲労感などの自覚症状が単なる故意の誇張ではないと
医学的に推定されるものが、これに該当する」と説明されていた(羽成・評価・279頁)。

現在の「必携」では、12級につき「通常の労務に服することはでき、職種制限も
認められないが、時には労務に支障が生じる場合があるもの」とされ、14級は
「12級よりも軽度のものが該当する」と抽象的に説明されているにすぎない
(必携・156頁)。しかし、現在においても「医学的に証明可能かどうか」で区別する
考え方が裁判実務では採用されている(羽成・評価・279頁、青本・314頁)。

そして、「医学的に証明可能かどうか」は、種々の検査結果、例えば、X線、CT、MRI、
脳血管撮影などの画像診断、脳波検査、深部反射検査、病的反射検査(上肢のホフマン、
トレムナー、下肢のバビンスキー反射、膝クローヌス、足クローヌスなど)、
スパーリングテスト、ジャクソンテスト、筋電図検査、神経伝導速度検査、知覚検査、
徒手筋力検査(MMT)、筋萎縮検査などの検査結果をもとに判断される(青本・314頁)。

すなわち、事故により身体の異常が生じ、医学的見地からその異常により現在の障害が
発生しているということが、上記検査結果(他覚的所見)をもとに判断できる場合に
「医学的に証明可能」ということになる(青本・314頁)。

なお、末梢神経障害に関する等級認定は、原則として、損傷を受けた神経の支配する
身体各部の器官における機能障害に係る等級により認定することとなる(必携・156頁)。
例えば、右膝神経麻痺によって右膝関節の機能障害が残存した場合は、関節機能障害
として等級認定されることになる(東京高判平成14年9月25日・
交民35・6・1792、東京地判平成14年4月22日・交民35・2・551、
大阪地判平成14年1月16日・交民35・1・27参照)。

12級と14級の違いについては、後述する裁判例の検討部分で詳述する。




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