【裁判例④】

【裁判例④】長野地裁諏訪支部判平12年11月14日(交民33・6・1855)
争点 てんかんと死亡との因果関係
結論 否定
年齢 事故時30歳(約4年2ヶ月後に死亡)
性別 男性
職業 会社員

【理由】
被害者は事故により頭部打撲、頸椎捻挫、腰椎捻挫、腹部打撲の傷害を負ったが、
事故直後は頭痛の訴えはなく転院先病院で撮影したX線でもCT撮影等でも異常は
認められなかった。
ところが、事故から約1年経過時に被害者に意識消失が出現し脳波等に基づき外傷性
てんかんと診断されて抗てんかん剤を使用し始め、さらに数ヶ月後に迷走神経緊張症と
診断された。

被害者は、引き続き通院し治療を受けていたが、事故から約4年後に嘔吐し入院した。
そのとき被害者の症状は次第に悪化し、てんかん重積の状態となり、事故から
4年2ヶ月後、付属病院に転院したが、間もなく死亡した。 

死亡診断書には、直接の死因はてんかん重積であり、その原因は脳炎と記載されているが、
脳炎との確証はないこと、外傷性てんかんとてんかん重積との関連は確定できない
との記載がある。

以上の事実関係において、裁判所は以下の医師の見解を挙げている。
まずは、「外傷性てんかんによるてんかん重積で死に至ることはなく、本件については、
外傷性てんかん以外の何らかの原因があったと考えられる。外傷性てんかんは、
抗てんかん剤を投与し、抗てんかん剤の血中濃度が有効値にあるか定期的に確認すれば、
てんかん発作のコントロールは容易に行える。抗てんかん剤を投与しているにも
かかわらず、てんかん発作が起き重積状態に陥ったとしても、人工的に麻酔下にて
眠らせて人工呼吸器にて呼吸管理がしっかり行われれば、てんかん重積状態は
コントロール可能で死亡することはない。」との見解である。

また、他の医師は、外傷性てんかんの増悪によっててんかん重積となり、それによって
死亡したと考えることは、呼吸管理がなされているにもかかわらず非常に速く進行した
臨床経過から考えると、交通事故との関連は、否定的に思えるとの見解を述べている。

さらに、医師は、外傷性てんかんの増悪によっててんかん重積となり、それによって
死亡したと考えることは、呼吸管理がなされているにもかかわらず非常に速く進行した
臨床経過から考えると、交通事故との関連は、否定的に思えるとその見解を述べている。

以上の事実を踏まえて、裁判所は、被害者は「本件事故以後、入院あるいは通院治療を
継続しなければならない状態となり、しかも症状は次第に悪化し、本件事故からおよそ
4年後にてんかん重積で死亡するに至ったというものであり、本件事故と死亡との間に
因果関係が存するようにも考えられるものの、直接の死因であるてんかん重積を発症
した原因は、最後の段階で治療に当たった医師においても確定できない状況で、
その症状の推移からすると、かえって脳炎あるいは脳症という本件事故とは関係ない
原因によって引き起こされた可能性が大きいといわざるを得ない。」としててんかんによる
死亡との因果関係を否定した。




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