【裁判例②】

【裁判例②】神戸地判平15年2月20日(自保ジャーナル1548)
争点 事故とてんかんとの因果関係
結論 肯定
年齢 事故時33歳、固定時38歳
性別 女性
職業 生活保護、アルバイト、2児養育
自賠責等級 5級2号
裁判所認定等級等
5級2号
喪失期間38歳~67歳の29年間
喪失率79%

【理由】
 原告には、本件事故以前にてんかん症状も精神的疾患もなかったこと、てんかん症状発生
の他の原因を窺わせる証拠はないこと、原告が初めて意識消失を訴えたとき以降てんかんの
治療を継続していること、医師がてんかんと診断していること等から、因果関係を肯定した。

そして、
①異常脳波が認められないとの被告の主張については、脳波テストは、それだけでは補助手段
とはなりえても、てんかんを診断したり、確定診断するものではない、てんかんにおいては
過剰な同期的発射は脳波のうえでスパイク(棘波)やバースト(群発波)などの突発波として
現れることが認められ、これは原告のθ波群発の所見と合致する、さらに、被告の主張する
3Hz棘徐波は発作時に現れるから、脳波テストの実施が発作時以外に行われたとすれば、
これが見られないことは当然であると述べた。

また、
②通院回数が月1回程度にすぎないとの被告の主張については、てんかんの治療の基本は
抗てんかん薬療法であるが、薬物療法により発作抑制がみられるものは各発作型を
合わせても60%と推定され、抗てんかん薬の投与を中断していた間にも、てんかんの
経過観察が必要であるという医師の判断のもと通院を継続し、その投与により、
ある程度の症状改善が得られたことなどを理由に、被告の主張を排斥した。

さらに、
③「うわの空」とか「ふわふわした感じ」が、てんかん類似の失神(非てんかん)の症状と
一致すること、若しくは、原告には、てんかん特有の舌咬傷、外傷がなく、てんかんの
場合の特徴である同型の発作もないことから、心因性などによる偽てんかんの症状に
親和性があるとの被告の主張については、一人の患者が複数の型の臨床発作を示すことは
ありうるし、カルテ上、ふわふわした感じがあるという記載があることだけで、
非てんかんないし偽てんかんであると即断することはできないことはもちろん、長期間に
わたって直接診察し、発作の様子やその他の神経学的症状、てんかんの家族歴、理学的所見
その他を総合考慮のうえ診断した2人の医師らの診断が、後にカルテの記載や画像所見・
脳波テストを検討したのみによって得られた意見に比べて信用性が高いことは明白で
あることなどを理由に採用しなかった。

加えて、
④被告は、本件事故から約1年4か月後に初めててんかんと診断されたことなどからすれば、
本件事故とてんかんの間には因果関係はないとも主張した。これに対して、裁判所は、
「外傷性てんかんは、閉鎖性外傷の場合は3~5%、開放性外傷の場合は30~50%、
1年目までに約半分、2年目までに4分の3が発症することが認められるから、原告の
ように本件事故後1年4か月後に初めててんかんと診断されたことは必ずしも不自然
ではない」として、被告の主張を排斥した。




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