示談交渉

では、交通事故の損害賠償の示談交渉は、どのように進むのでしょうか。
まず、治療中から、慰謝料や逸失利益などに関する交渉を保険会社と行っている
被害者の方がいらっしゃいますが、治療中の段階にこれらを行っても、
後で改めて仕切り直して交渉スタートなりますので、やめましょう。

治療中の段階で保険会社と交渉するのは、治療費、入院雑費、看護費、休業損害、
装具器具費用、交通費などの実費の支払いについてです。

入院中の個室やタクシー通院なども、この段階で保険会社が認めていたとしても、
後で裁判になったときは白紙撤回され、「個室が必要であったか。」
「公共交通機関での通院は不可能だったのか。」などが争われることになります。
保険会社の担当者の言質はアテにしないようにしましょう。

示談交渉が本格的に開始されるのは、治療が終了し、症状が固定し(後遺症の場合)、
後遺障害等級認定が確定してからとなります。

この段階で、人身損害の関係の損害が確定するため、はじめて慰謝料や逸失利益の
計算が可能になるのです。

なお、物損関係の示談交渉は、交通事故後すぐに確定できますので、人損とは別個に
交渉され、示談がされるのが通常です。

物損について過失相殺を取り決めても、そのまま人損に適用されるわけではありませんので、
この点も注意しましょう。

示談交渉は、被害者側から賠償金額を提示することも可能ですが、通常は保険会社側から
提示してきます。

この金額が不服であれば、被害者側で、どの点が不服であるかを明示し、
保険会社に再検討を促します。

このようなことを繰り返し、保険会社が提示する示談金額が上限額になっていきます。

そのような過程を経て、保険会社が「これ以上を望むなら、裁判をやってください。」
と宣告する金額となりますので、それ以上は交渉では難しいということになります。

それ以上を望むのであれば、財団法人交通事故紛争処理センターに持ち込むか、
弁護士に依頼して交渉してもらうか、裁判に持ち込むか、ということになります。

交通事故紛争処理センターは、自賠責保険の運用益をもって運営されている
財団法人であり、東京本部の他、札幌、仙台、名古屋、大阪、広島、高松、
福岡と全国7つ支部と2つの相談室があります。

この交通事故紛争処理センターでは、交通事故の被害者からの相談を受け、
加害者側の保険会社からも話も聞いた上で、示談斡旋を行う制度を有しています。

相談員は、同センターの嘱託を受けた弁護士が就任しており、裁判基準を基本として、
和解斡旋を行います。

この和解斡旋では、弁護士がついていませんので、損害の立証等は自分で行わなければ
なりません。

相談員の弁護士に必要な書類をよく聞いて、速やかに証拠を集めなければなりません。
通常は、期日を3~4回開いた時点で斡旋案が提示されるようです。
この斡旋案は、書面で行われることもあれば、口頭で行われることもあります。
この斡旋案を双方が受け入れる場合には、和解が成立することになりますので、
相談担当弁護士が立会のもとで、示談書ないし免責証書が作成され、事件は終了します。

和解斡旋が成立しないときは、審査に移行します。審査員には大学の法学部の
教授・助教授、裁判官経験者の弁護士及び交通事故の処理に経験の深い弁護士が、
センターの理事会で選任されています。

審査においても、当事者双方から話を聞き、それに基づいて裁定を下します。
裁定内容を告知された日より14日以内に、同意または不同意をセンターに回答し
(この期間を過ぎても回答のない場合は、不同意と見なされ終了します。)、
不同意の場合は、センターでの手続は終了となります。

この間、保険会社より訴訟移行の要請がなされたときは、審査は中断し、訴訟が
適当かどうか判断し、訴訟が適当であると判断されたときは、審査は終了します。

この審査の過程でも、和解が勧められることがあり、合意が成立すると、
示談書ないし免責証書が作成され、手続が終了します。

弁護士に交渉を依頼する場合には、弁護士費用がかかります。
被害者の加入する任意保険に「弁護士費用特約」が付加されている場合には、
ある程度の弁護士費用を保険でまかなうことができますので確認した方がよいでしょう。

そうでない場合には、自分で弁護士費用を負担しなければなりませんが、
法律の専門家である弁護士が交渉をすることによって、自分が交渉するよりも
高額の示談金を獲得できることも多いため、検討した方がよいでしょう。

保険会社が「これ以上を望むなら、裁判を行ってください。」と宣告した後に、
弁護士が入って交渉し、更なる増額を勝ち取ることは稀ではありません。

また、保険会社から提示された示談金額が妥当なものかどうか、を確認する意味でも、
依頼するかどうかは別として、弁護士に法律相談をしてみることをお勧めします。




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