まとめ

素因減額は、被害者に発生した後遺障害が加害行為のみによって
通常発生する内容・程度を超えていると考えられる場合に問題となるため、
事故と後遺障害との間の相当因果関係とセットで争われることが多く、
具体的な素因減額の割合は、裁判所が決定する「損害の公平な分担」の
理念に従い導き出されている。

裁判例の検討からは、裁判所は、①既往症の存否・程度、②事故による
衝撃の程度、③後遺障害の内容と程度、④事故後の容態経過等の事情を
総合的に考慮して、素因減額の可否及び素因減額割合を
判断していることがわかる。

考慮要素 :既往症の存否・程度
問題となる事項
・経年変性にとどまるか、「疾患」か
・事故前から存在していた症状か、事故による外傷で発生した症状か
・事故前に既往症の具体的な症状が出ていたか
・事故前後の生活状況(事故前に力作業を行うことが可能であったか否か、
事故前後における生活状況の著しい変化)

考慮要素 :事故による衝撃の程度

問題となる事項
・事故態様(事故現場の場所、衝突速度、衝撃が加わった向き、
衝撃が加わった部位等)

・被害者以外の関係者の傷害の程度
・物損被害の程度

考慮要素 :後遺障害の内容と程度

問題となる事項
・事故により通常発生する障害内容かどうか
・重篤な後遺障害か軽微な後遺障害か
考慮要素 :事故後の容態経過

問題となる事項
・通常の医学的所見との異同(特に心因的要因で問題となることが多い)
・事故直後の診断とその後の症状悪化の経過
・医師の診断内容及び鑑定意見

なお、裁判例で明確に指摘するものは見当たらなかったが、
素因減額の根拠が「損害の公平な分担」という点にある以上、
加害者に悪質な事情が認められる場合には、素因の寄与をあまり
重視すべきではないと考えることができるであろう。




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