裁判例 東京地裁平成18年3月29日

裁判例 東京地裁平成18年3月29日
(自動車保険ジャーナル第1653号)
年齢 50歳
性別 男子
事故状況
被告運転の乗用車がセンターラインを超えてきて、原告運転の
普通常用自動車と正面衝突した。

後遺障害等級
原告主張:2級1号
自賠責:7級4号
裁判所認定:7級4号
原告の主張する傷害及び後遺障害
傷害:頭頸部外傷、頸髄損傷
後遺障害:頸部・肩部痛、四肢麻痺、知覚障害、
筋力低下(四肢)体幹機能障害、関節障害

素因(既往症)の内容 脊柱管狭窄
素因減額 0%

ア 本裁判例の内容
本裁判例は、原告が「本件事故により、頭頸部外傷、頸髄損傷の障害を負い、
頸部・肩部痛、四肢麻痺、知覚障害、筋力低下(四肢)体幹機能障害、
関節障害が残り、随時介護を要する状態になった(2級)。」と
主張したのに対し、被告が「①原告の後遺障害の程度は7級4号である、
②原告には脊柱管狭窄があり、原告の症状の発現及び残存症状に影響を
与えているから、1、2割は素因減額されるべきである。」として、
後遺障害の内容・程度を争い、素因減額を主張した事案である。

裁判所は、原告の脊柱管狭窄は、頸椎の加齢性の変化であると
考えられるところ、当該変化は原告の年齢に照らすと、加齢に伴う程度の
変性である可能性もある一方、これが疾患に当たることを認めるに
足りる証拠はなく、他にこれを原告の損害賠償の額を定めるに当たり
斟酌することができる特段の事情の立証があるとまではいえないから、
仮にこれが損害の発生に寄与しているとしても、原告の損害賠償の額を
定めるにあたり斟酌するのは相当ではないというべきであると判示して、
素因減額を認めなかった。

イ 分析
本裁判例は、7級4号の限りで本件事故と後遺障害との相当因果関係を
肯定したうえで、被害者の脊柱管狭窄が「疾患」に当たることを認めるに
足りる証拠はなく、他にこれを斟酌することができる特段の事情の立証が
あるとまではいえないとして、素因減額を否定した。

裁判所は、身体的素因に関する最高裁判例(平成8年10月29日)が
示した断枠組みに従って、結論を導いている。本裁判例に対しては、何が
「疾患」なのか一義的に明らかにならないため、仮に被害者の脊柱管狭窄が
「疾患」の程度に至らなくても、損害の発生に寄与したことが
認められるのであれば、素因減額事由として考慮するのが公平に
かなうという批判があるであろう。




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