裁判例 大阪地裁平成7年3月2日

裁判例 大阪地裁平成7年3月2日
(交民集28巻2号351頁)
年齢 47歳
性別 男子
事故状況 飲酒酩酊し無灯火で走行していた被害自転車に、
加害乗用車が衝突した。

後遺障害等級
原告主張:1級8号
自賠責:不明
裁判所認定:5級2号
原告の主張する傷害及び後遺障害
傷害:脊髄損傷(胸髄下部)
後遺障害:両下肢麻痺、両下肢痺れ・筋力低下、起立歩行不可
素因(既往症)の内容
脊髄血管障害等の何らかの軽度な脊髄疾患
心因的要因(自ら積極的に下肢の運動機能回復に務めようとしない)
素因減額 40%

ア 本裁判例の内容
本裁判例は、原告が「本件事故により胸腰部を打撲して脊髄損傷
(胸髄下部)の傷害を負い、両下肢麻痺、両下肢痺れ・筋力低下、
起立歩行不可の後遺障害(1級8号)が残った」と主張したのに対し、
被告が「①原告主張の各障害の原因は、脊髄損傷ではなく、歩行障害を
きたす先天性奇形体質やヒステリー・賠償神経症等の心因的要因であって、
本件事故と相当因果関係がない、②仮に、因果関係が認められるとしても、
上記各要因が障害の拡大に寄与しているから、身体的要因・心因的要因の
寄与による減額がなされるべきである」として、相当因果関係を争い、
素因減額を主張した事案である。

裁判所は、本件事故による外力が、原告の脊髄に損傷等の影響を与え、
両下肢麻痺の一因となったことが認められるとして、本件事故と原告の
両下肢麻痺との間の相当因果関係を肯定した。

そのうえで、裁判所は、原告には、本件事故以前から、歩行障害をきたす、
微細な脊髄血管障害等の何らかの軽度な脊髄疾患が生じており、これが、
本件事故による衝撃と相俟って脊髄損傷発生の一要因となったと
推認することができるとして体質的要因の寄与を肯定し、また、原告は、
本件事故後、医師が指示するリハビリテーションに応ずる以外に、
自ら積極的に下肢の運動機能の回復に努めたとは考え難く、むしろ、
自ら下肢を動かそうとしたことはほとんどなかったと推認でき、
下肢筋肉運動の絶対量の少なさが、症状固定以前においても、
ある程度の筋萎縮と筋力低下をもたらし、歩行障害の程度を高めたと
考えられるから、両下肢麻痺の加重に原告の心因的要因が寄与したと
認めるのが相当であるとして、心因的要因の寄与も肯定した。

そして、具体的な素因減額の割合につき、後遺障害の発生・拡大に寄与した
上記各要因の性質、内容、寄与の程度等を総合考慮すれば、当事者間に
おける損害の公平な分担を図る見地から、損害額の4割を減額するのが
相当であると判示した。

イ 分析
本裁判例は、本件事故と後遺障害との相当因果関係を肯定したうえで、
身体的素因に加え心因的素因も考慮して、損害の公平な分担の観点から、
4割の素因減額を行った。

裁判所が4割の素因減額を行ったのは、機能回復に対する逃避的態度と
いう被害者の心因的要因が後遺障害の重篤化に寄与している点を
重視したためと思われる。




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