裁判例 大阪地裁平成12年1月14日

裁判例 大阪地裁平成12年1月14日
(交民集33巻1号39頁)
年齢 42歳
性別 男子
事故状況
時速60キロで走行していた加害車両が、被害車両が減速して車間距離が
なくなっていることに気付かず、被害車両の目の前で急ブレーキを
かけたが間に合わず追突した。被害車両は追突場所から24.7メートル
進んで停止し、加害車両は19.2メートル進んで停止した。

後遺障害等級
原告主張:7級4号
自賠責:不明
裁判所認定:9級10号、14級10号
原告の主張する傷害及び後遺障害
傷害:外傷性頸椎症、外傷性腰椎症、脊髄損傷
後遺障害:肩甲痛、腰痛、筋力の低下を伴う左上肢放散痛、握力の低下等
素因(既往症)の内容 椎間板狭小、膨隆、先天性脊柱管狭窄症、骨棘形成
素因減額 5%

ア 本裁判例の内容
 本裁判例は、原告が「本件事故により、外傷性頸椎症、外傷性腰椎症、
脊髄損傷の傷害を負い、肩甲痛、腰痛、筋力の低下を伴う左上肢放散痛、
握力の低下等の後遺障害(7級4号)が残った」と主張したのに対し、
被告が「①本件事故により、原告に脊髄損傷は生じていない、
②原告には、椎間板狭小、膨隆、先天性脊柱管狭窄症、骨棘形成といった
素質的疾患があり、かかる既往症が後遺障害に与えた影響は否定
できないから、素因減額がなされるべきである」として、傷害内容を争い、
素因減額を主張した事案である。

裁判所は、本件事故により、原告が脊髄損傷の傷害を負ったとは
認められないとしたうえで、原告には、脊髄障害により左手の疼痛が
持続していることが認められ、これにより一般的な労働能力は残しているが
就労可能な職種の範囲は相当な程度に制限されていると認めるのが
相当であるとして後遺障害等級9級10号の限度で本件事故と後遺障害との
因果関係を肯定した。

そのうえで、裁判所は、原告には、本件事故以前から椎間板狭小、膨隆、
先天性脊柱管狭窄症、骨棘形成があったことが認められ、これが本件事故と
相俟って、原告の症状及び後遺障害を生じていたものと認められるから
(ただし、本件事故以前にその症状が出ていたことを認めるに
足りる証拠はない)、これを考慮して、損害額からその5%を控除するのが
不法行為法の理念である衡平の観点からすると相当であると判示した。

イ 分析
本裁判例は、9級10号の限りで本件事故と後遺障害との相当因果関係を
肯定したうえで、本件事故以前から椎間板狭小、膨隆、先天性脊柱管狭窄症、
骨棘形成があったことを理由に、損害の公平な分担の観点から、
5%の素因減額を行った。

裁判所が5%の素因減額にとどめたのは、本件事故以前に既往症の症状が
出ていたことを認めるに足りる証拠がないことを重視したためであろう。




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