車両購入・改造費

脊髄損傷者が自立した生活を営む上では、移動手段の確保が重要になる。
上肢のみで自動車の運転ができるように車両を改造したり、
あるいは車椅子のまま乗れる自動車が必要になる。

自動車についても、家屋と同様、他の家族も乗るような場合には、
その家族の利便性を考えて車両購入費の一部のみを損害とする場合もある。

a 認めた裁判例
裁判例 東京地判平成13年7月31日
(自保ジャーナル第1415号)
年齢 24歳(事故時)
性別 男子
後遺障害の
内容 第5胸髄以下完全麻痺
自賠責等級 1級

被害者側の状況
胸から下が完全に麻痺した状態であるたるため、外出するには被害者が
運転できるように特別な改造を施した自動車を用いる必要がある。

認定された内容
被害者の上記状況を認め、被害者が自動車を購入しその購入代金及び
改造費用として191万4880円を支払ったこと、平均余命までの間、
5年ごとに自動車を買い換える必要があり、その都度200万円を
下回らない自動車購入代金及び改造費用がかかることを認め、中間利息を
控除して、合計852万1680円を認めた。

本裁判例は、被害者の後遺障害から、被害者が外出するには改造自動車を
用いる必要があることを認め、被害者が既に購入している自動車購入代金
及び改造費用をもとに、将来の買い換え費用等も認めたものである。

本裁判例のように、既に自動車の購入・改造等を行っている場合には、
必要性及び金額の立証は容易であろう。

b 否定した裁判例
裁判例 名古屋地判平成17年5月17日
(自保ジャーナル第1597号)
年齢 29歳(事故時)
性別 男子
後遺障害の
内容 高位脊髄麻痺、呼吸筋麻痺等
自賠責等級 1級3号
被害者側の状況
被害者の後遺障害は、高位脊髄損傷等の重篤で、かつ、呼吸器系統に
重大な障害を残すものであり、症状固定後もその状態を維持するために
在宅治療を要する。

認定された内容
被害者の後遺障害等からすると、被害者は在宅治療を要する状況であり、
頻繁に外出する環境にはないとし、後遺障害のない人に比べ、外出時に
介助等必要な費用がかかることは認められるものの、相当因果関係の範囲内に
あるそれらの費用は他の損害項目において評価しており、
身体障害者用改造自動車の費用を別途認めることは困難であるとした。

本裁判例は、被害者の後遺障害が、呼吸筋麻痺等極めて重度であることなどから、
被害者が頻繁に外出する環境にないことを重視し、自動車の改造費用を
認めなかったものである。

あまりに重度な後遺障害であり、治療・リハビリのためにしか
外出しないような場合には、自動車購入・改造の必要性をより詳細に
主張・立証することが不可欠であると思われる。




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